Japanische Klassiker mit Furigana
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かっしょくのぐどう
褐色の求道
岡本 かの子
Lesen Sie 褐色の求道 (かっしょくのぐどう) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.065 Zeichen · 14 Bildschirme
大変難かしいですね。恐れ入りますが教えて下さいませんか。どうぞ、どうぞ」
私はその求め方があまり唐突なので笑ってしまった。それから「失礼しました」と断って笑いを収め、
「いえ、別段、難かしいことはないのです。礼拝は心を統一さす為めの形式方法なのですから、めいめい自分に都合のよい手の合せ方をすればいいのです。けれども普通はこれです」
と言って普通の十指の合せ方をしてみせた。
「ほんとに、これでいいんですか」と自分も真似ながら頻りに不安がっている青年を私はどうやら会得させて、先へ室を出てしまった。その青年は新らしく教えられた合掌の仕方でなお石碑に向って礼拝をしなおして居た様子だった。
町を歩き廻って夕刻少し前、停車場へ戻った。生憎と伯林行きの汽車は出てしまった後だった。次の汽車までは一時間はある。停車場の軒続きに覗くと清潔そうなレストーランがあるので、少し早いとは思ったが晩餐を済ますことにして其の店へ入って行った。
客は一人も居なかった。年寄ったウェーターが私を出張りの硝子囲いの側近くの卓に導いて呉れて、間もなく皿を運んで来た。私は程よく燃えているストーヴに暖められながら、いつの間にか氷雨が降っている硝子の外の景色を眺めながら悠っくりフォークを動かしていた。