Japanische Klassiker mit Furigana
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さいごうたかもり
西郷隆盛
Lesen Sie 西郷隆盛 (さいごうたかもり) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.892 Zeichen · 22 Bildschirme
」
本間さんは実を云うと、そんな事は少しも知らなかった。が、黙っている中に、老紳士の方で知っているものときめてしまったらしい。
「そこで城山戦死説だが、あの記録にしても、疑いを挟む余地は沢山ある。成程西郷隆盛が明治十年九月二十四日に、城山の戦で、死んだと云う事だけはどの史料も一致していましょう。しかしそれはただ、西郷隆盛と信ぜられる人間が、死んだと云うのにすぎないのです。その人間が実際西郷隆盛かどうかは、自らまた問題が違って来る。ましてその首や首のない屍体を発見した事実になると、さっき君が云った通り、異説も決して少くない。そこも疑えば、疑える筈です。一方そう云う疑いがある所へ、君は今この汽車の中で西郷隆盛――と云いたくなければ、少くとも西郷隆盛に酷似している人間に遇った。それでも君には史料なるものの方が信ぜられますか。」
「しかしですね。西郷隆盛の屍体は確かにあったのでしょう。そうすると――」
「似ている人間は、天下にいくらもいます。右腕に古い刀創があるとか何とか云うのも一人に限った事ではない。君は狄青が濃智高の屍を検した話を知っていますか。」
本間さんは今度は正直に知らないと白状した。