Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

「悪いこともありませんが、未だ熱が下りませんの」

ぐらいに取り繕って答える。

「然うか。困るね」

と病室を見舞って食卓につくが、三十九度以上は一膳、八度台は二膳、七度台で定量の三膳を召し上る。子供が病気になると自分も半病人だ。それから寝るまで幾度二階から下りて来るかも知れない。

「俺は積極的に活動することなら幾何でも平気だが、病人の看護には閉口だ」

と兜を脱いでいる。騒ぐ丈けで一向役に立たないのに、自分では相応努めている積りらしい。

ところで此年はお父さんの苦労の季節が早く来た。正月の二日の晩に千代子が発熱して、四日には郁子が頭痛を訴えた。佐久間さんに見て貰ったら、普通の流感で大したことはないとあったが、何方も九度以上だからお父さんは落ちつかない。そこへ持って来てお客さまの絹子さんが六日から床についた。これは扁桃腺炎で九度台を突破した。三人丈けで済んだのは不幸中の幸だったが、お母さん一人では手が廻らず、一時は看護婦にも来て貰って一寸騒ぎを入れた。僕は毎日お薬取りを承わった。受験準備へ食い込む分を人生観察で挽回しようと思って、診察にも成る可く立ち合うことに努めた。