Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
「まあ! お父さんやお母さんと御相談の上?」
「お母さんには一寸話しましたが、お父さんは例の通り石の上にも三年主義ですから、イヨイヨ定ってからにします」
「それで宜いの?」
「宜いでしょう?」
「今度は何ういう方面へ向いますか? 場合によっては及ばずながら御援助しましょう」
とお父さんは大に期待したようだったが、
「銀行です」
と芳夫さんが答えると、
「金網の中で働くんですね」
と言った。
「あなたは悪い癖ね。銀行や会社というと妙な反感を持っていらっしゃる。芳夫さんが新聞社へでも入ったら、御機嫌でございましょうね?」
と身内に実業家の多いお母さんは平常からの不満もあった。
「その通りその通り」
「僕も筆が立つと新聞社へ入っても宜いんですが……」
と芳夫さんはお茶を濁した。まさか新聞記者は嫌いだとも言えなかったのだろう。
「俺だって何も会社や銀行の使用人に遺恨があるんじゃないが、しかし相応資力のあるものがああいう生活奮闘者の中へ割り込むのは結局自他の損害に帰着すると思っている。この意味から考えると、芳夫さんが三越をやめるのは大に結構なことだ。生活の心配のない大学出身者が牛刀を提げて雛っ子上りの間へ飛び込むのが元来間違っている」