Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けいりゃくにじゅうせん

計略二重戦

甲賀 三郎

Lesen Sie 計略二重戦 (けいりゃくにじゅうせん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.953 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

「ソーントン。お客さんを地下室に御案内なさい」

シムソンは外国語で命令しました。ソーントンと云う部下は黙ってうなずいて、ポケットから大型のピストルを取り出して、仁科少佐に突きつけながら、

「どうぞ、こちらへ」と下手な日本語で云いました。

少佐は覚悟をきめたと云う風に、悪びれずに立上りました。そうして、ソーントンに送られて、部屋の戸口に歩み寄りますと、シムソンは何と思ったか、急に呼び留めました。

「軍人さん、ちょっとお待ちなさい。あなた折角ここへ来て、直ぐ地下室へ入れられるのは、余り残念でしょう。ここへ来られたお礼です。秘密書類がどこにあるか、教えて上げましょう。お国の大事の大事の書類は、麹町郵便局に留置郵便にして置いてあります。あなた、いい土産話でしょう。感謝しませんか」

仁科少佐はきっと唇を噛みました。ああ、何たる卑劣漢! 少佐が袋の鼠で、どんな事があっても逃げ出せないと知って、わざと弄る為に、秘密書類のありかを毒々しく云うのです。

「有難う。シムソンさん」少佐は眼を怒りに燃えながらも、言葉は優しく云いました。「それを聞けば私も安心して地下室の牢に行けます。