Japanische Klassiker mit Furigana
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はなしのくずかご
話の屑籠
豊島 与志雄
Lesen Sie 話の屑籠 (はなしのくずかご) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.252 Zeichen · 11 Bildschirme
そこに鴨が浮いているので、定めし呑気な奴だろうと思って、氷の上を近よっていくと、少しも逃げない。ピストルの着弾距離までも寄せて、平気である。
これは面白い、というわけで、早速、ピストルで鴨猟だ。ところが、ピストルの音にもまだ逃げない。よく見ると、鴨は足をすっかり氷に張りつめられて、飛ぶことが出来ないのだ。
何のことはない、玩具の鴨を弾つようなもので、いくらでもとれる。一々弾つのは面倒くさいので、大きな鎌をもってきて、氷に足をとられて動けないでいるやつを、その足を刈ってはとるのだ。これこそ本当のカモガリだ。
そういうわけで、鴨の足だけは、氷のなかに刈り残される。それが翌年になって、春の末の温気と共に、河に張りつめた氷がとけると、何しろ天地万物が芽ぐむ春のことだ、鴨の足からも芽を出して、立派な鳥となる。一冬氷や雪のなかに閉籠められていたので、全身真白で、鴨の足から芽を出した鳥なので、それをカモメというのだ……。
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右のような話をして、海軍士官は朗かに笑った。私も笑った。が、この話、ただそれだけのことである。これは面白いには面白いが、話の屑籠のなかで、何の役にも立たない種類なのである。