Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうかいしゃ
誘拐者
山下 利三郎
Lesen Sie 誘拐者 (ゆうかいしゃ) von 山下 利三郎 (やましたりさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.834 Zeichen · 16 Bildschirme
手巾を引摺出した、飽かず眺めてちょっと鼻に嗅いで満足らしい笑を漏した。善兵衛は莫迦莫迦しいと云ったふうに、顔を外向てしまった、こんどは渡邊の描いた見取図を受取て、
「フーム、Fの字見たいな建方だな、この離れが一番上の横線に該当するね、中庭を隔てて御主人の居間と向合うて二階が弟さんの御部屋か……」こう呟いて沓脱の駒下駄を履くと、グルッと庭を廻って座敷の裏手へ出た、そこは納屋と空地があり、忍返しのついた黒板塀で囲われてある、足許に注意しながら春日は塀の隙間から覗いた、外は小路を隔てて向側は他家の塀で、通行は稀らしい。
眼を離すとき左手の丸木柱と塀との間に、六寸程の竹片が挟んであるのを見附て、指を差込だが春日の指に比べて隙間が少し狭かった、漸く取出してみると、尖端に泥が乾き着いていた、足許に気がつくと柱の根元三寸程の所塀に密接して、新しく土を埋めたらしく柔らかくなっている竹片を紙にくるんで懐中へ入れると台所の方へ歩いていった。
襷がけ忙しく働いていた下女は二人とも、春日の姿を見ると叮嚀にお辞儀をした、その一人の方へ近づくと優しく、
「貴方でしたか昨夜お嬢様のお伴をなすった