Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なぞのおんな

謎の女

平林 初之輔

Lesen Sie 謎の女 (なぞのおんな) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.077 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

「さあどうしたらいいでしょうか?」

山野さん(とうぶん彼女をこう呼びつづけてゆくより外はない)はいっこう先の成算はないらしかった。

「いずれにしても、あのホテルにいるわけにはいきませんねえ。今まで別々に、ちがった名前で暮らしていて、今日から突然、実は夫婦だというのも変ですからね。それに、あのホテルじゃ、僕のことはよく知っていますから」

「そうですわね、とにかくあのホテルは住みかえなくちゃ……」

「そしたら、名前はどうしましょうか? 僕の名前にしましょうか、それとも二人ともかえましょうか?」

「偽名がわかるとうるさいんじゃないですか? あたしそれも心配なんですよ、いま。警察からしらべにきたりしやしないかと思って」

「そんなこともないでしょうが、それじゃ僕の名前はそのままにしといて、貴女のお名前だけかえることにしましょう」

「そうしていただければ……」

「何としますかな、名前は……道子というのはどうです、島道子といえばありそうな名前じゃありませんか?」

「ええ、名前はどうでもきめてさえいただけば……」

「そうきまったら、今度は行く先ですね、どこへ行きましょう?」

「そうね――」