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Japanische Klassiker mit Furigana

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ようきょくこくびゃくだん

謡曲黒白談

夢野 久作

Lesen Sie 謡曲黒白談 (ようきょくこくびゃくだん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.288 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

けれ共何とかして謡曲の御利益を納得させて、あわよくば一曲御所望を云わせてやろうと思う甲種熱心家が「でも高尚ではありませんか」と切り込むと、その返事は大抵「でもあの声が……」と来る。ここに到って並大抵の天狗様ならば一遍にギャフンと参いって、それなり生唾を飲み込んで我慢するところであるが、併し慢性の超弩級大天狗になるとこれ位の逆撃は然して痛痒を感じない。却てこれを怪しからぬという面もちで、直ちに第三発の十六吋を撃ち出す。

「ハハア。それはそうでしょう、まだ妙味を御存じないから。あの声というものは一朝一夕で出る声ではありません。他の音曲では浮いた声があっても差し支えありませぬが、謡曲では決してそんな声を用いる事を許しません。ですから他の音曲は面白くても賤しく、謡曲は面白くなくても高尚なのです。この声を出すには、先ずこんな風に正座して身心を整斉虚名ならしめ、気海丹田に力をこう籠めて全身に及ぼし、心広く体胖かに、即ち至誠神明に通ずる底の神気を以て朗々と吟誦するのです。ですから一句の裡に松影婆娑たる須磨の浦を現わし、一節の裡に万人の袖を濡らす事が出来るのです」