Japanische Klassiker mit Furigana
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たににうたうおんな
谷にうたう女
小川 未明
Lesen Sie 谷にうたう女 (たににうたうおんな) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.202 Zeichen · 7 Bildschirme
なんという、いじらしいことかと、彼女は少女心にも深く感じたのでありました。
月日は、足音をたてずにすぎてゆきました。
くりの木のこずえで、海の方を見ながら、歌をうたっていた枯れ葉も、いつか地に落ちて朽ちてしまえば、村を出たおかよは、もう二年もたって、すっかり都のふうにそまったころです。
ある日おかよは、お嬢さまのおへやへ入ると、ストーブの火が燃えて、フリージアの花が香り、そのうちは、さながら春のようでした。そして、蓄音機は、静かに、鳴りひびいていました。しばらく、うっとりとして、彼女はお嬢さまのそばで、その音にききとれていると、目の前に広々とした海が開け、緑色の波がうねり、白馬は、島の空をめがけて飛んでいる、なごやかな景色が浮かんで見えたのであります。
お嬢さまは、窓のところへ歩み寄ると、はるかに建物の頭をきれいに並べている街の方をごらんになりました。そして、自分でも、その歌の一節を口ずさみなさいました。
「ねえ、おかよや、おまえ、この子守唄をきいたことがあって?」といって、箱の中から一枚のレコードを抜いて、盤にかけながら、
「私は、この唄をきくと悲しくなるの、東京に生まれて、田舎の景色を知らないけれど、白壁のお倉が見えて、青い梅の実のなっている林に、しめっぽい五月の風が吹く、景色を見るような気がするのよ。