Japanische Klassiker mit Furigana
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とんぐん
豚群
黒島 伝治
Lesen Sie 豚群 (とんぐん) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.277 Zeichen · 15 Bildschirme
昨年、暮れのことである。
火を入れた二番口の醤油を溜桶に汲んで大桶へかついでいると、事務所から給仕が健二を呼びに来た。腕にかゝった醤油を前掛でこすり/\事務所へ行くと、杜氏が、都合で主人から暇が出た、――突然、そういうことを彼に告げた。何か仔細がありそうだった。
「どうしたんですか?」
「君の家の方へ帰って見ればすぐ分るそうだが……。」杜氏は人のいゝ笑いを浮べて、「親方は別に説明してやることはいらんと怒りよったが、なんでも、地子のことでごた/\しとるらしいぜ。」
「どういう具合になっとるんです?」
健二は顔を前に突き出した。――今年は不作だったので地子を負けて貰おう。取り入れがすんですぐ、その話があったのは彼も知っていた。それから、かなりごた/\していた。が、話がどうきまったか、彼はまだ知らなかった。
杜氏は、話す調子だけは割合おだやかだった。彼は、
「お主の賃銀もその話が片づいてから渡すものは渡すそうじゃ、まあ、それまでざいへ去んで休んどって貰えやえゝ。」と云った。
「そいつは併し困るんだがなあ。賃銀だけは貰って行かなくちゃ!」
既に月の二十五日だった。