Japanische Klassiker mit Furigana
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ひょう
豹
山本 周五郎
Lesen Sie 豹 (ひょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.656 Zeichen · 14 Bildschirme
純子の表情は日頃の静かさをすこしも変えていなかったが、言葉の端々には隠しきれぬ心の動きが感じられる。
「信じないのね、いいわ。必要ならその女から来た手紙を見せてあげます、その女が兄さんの子供を生んだとき寄来した手紙を――」
正三が驚いて顔をあげようとしたとき、近くで鈍い銃声が起った。そして裏手の空地のほうを、けたたましく何やら罵喚きながら、四五人の人たちの走り過ぎる気配がした。
「さあ、寝ましょう」
純子が静かに立上った。
「嫂さん」
正三は思い切った調子で
「それ、本当ですか、兄さんが家政婦に子を生ませたという話――」
「内緒よこんなこと、私どうかしてるのね今夜、聞かないつもりでいてちょうだい、ねえ」
返事をどうしたらいいか迷っていると、前より遠くで、また続けさまに二三発銃声がした。純子は扉から出て行きながら、
「正三さん今夜もこっちへお泊んなさい」
と呟くように云った。
明る日正三は図書館へでかけて行った。
兄の自殺の原因を初めて具体的に聞いて、正三の気持はひどく動揺していた。父や親戚の反対を押切って、無理やり結婚をしたほど嫂を愛していた兄が、三年そこそこの別居で外の女に子を生ませたという。