Japanische Klassiker mit Furigana
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ひんみんくらぶ
貧民倶楽部
泉 鏡花
Lesen Sie 貧民倶楽部 (ひんみんくらぶ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.333 Zeichen · 111 Bildschirme
「やい、愚図々々してるとこうだぞ。」足を揚げて老爺を蹴飛ばし、襟を掴みて老婆を突遣る。地に転びてようよう起ち、力無ければ争い得ず、悄然として立去るを、先刻より見たる豆府屋は、同病相憐の情に堪えず、
「こう老爺様まあ待ちねえ、婆様ちょいと。」と呼留めて、売溜の財布より銅貨四銭取出し、二人の手に頒ち与えて、「親方持だから資本へは手が出せぬ。余りちっとだが芋でも買いねえ。」二人は再三辞退して、ようやくこれを受納め、「ああ、お若いに御奇特な。」「やれ嬉しや、難有い。」
と打って変って喜悦の涙、襤褸の袖を分ちけり。
時既に黄昏ぬ。正午頃より今に至るまで、米を計りて待構えたる鮫ヶ橋の貧民等恩に浴せんとて来る者無く、貧童一人の影だに見えず。さなきだに葬礼法会ありしと聞けば、魚の腸に寄する鳶のごとく十里を遠しとせざる輩が、しかも丁寧に告知らせしに、召に応ぜざるはそもいかに、貴婦人方は本意なげなり。
心利きたる馬丁等、素早く坂を駈下りて、谷町通に大音に、「御救米が出るになぜ来ない。」「下され物だ下され物だ。辞退は失礼に当るぞ。」「早く出ろ、直ぐに来い。」と声嗄るるまで触流すを、ござんなれと待居たる、究竟の破落漢、軒下あるいは塀の蔭よりばらばらと飛出して、お使番を引僵し、蹴って踏んで撲わして、「此奴等、人を乞食にしやあがる。