Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かこうとしょうり

賈后と小吏

田中 貢太郎

Lesen Sie 賈后と小吏 (かこうとしょうり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.751 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

夢の中の人のようになっていた青年は、何か言う仙妃の詞を聞いて四辺に注意した。彼は綺麗な室に仙妃と並んで腰をかけていた。

「お前は人間界で何をしてる」

仙妃の片手は青年の肩にかかっていた。青年は懼る懼る答えた。

「私は盗尉部の下吏でございます」

「名は何という」

「――といいます」

「年は幾歳」

「――でございます」

「両親があるか」

「――――」

「毎日、どんなことをしてる、面白いことがあるか」

「貧乏で、食物のことに困っておりますから、面白いことはございません」

「食物に何故困る、何でも食べる物があるではないか」

「それが貧乏人でございますから」

「それでは、私が困らないようにしてあげよう、お前には家内があるか」

「家内もございません、貧乏でございますから、持つことが能ません」

「それは可哀そうである」

「は」

「これから、もう何も困ることはない、私が幸せにしてあげる」

「有難うございます」

「そんなに、頑くるしくしないが良い、お前とは天縁がある」

仙妃は青年の肩にかけていた手にねっとりと力を籠めた。青年は初めて仙妃の顔を見た。色の青黒い眼尻の切れあがった、きりりとした男のような眼をした仙妃の顔は青年の心を軽くした。