Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あかいかしゃ

赤い貨車

宮本 百合子

Lesen Sie 赤い貨車 (あかいかしゃ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.168 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

兄さんもお父さんに接吻してね、そして出かけて行ったんですよ」

アンナ・リヴォーヴナは溜息をついて、しばらくしてきいた。

「伯母さん、親切にしておくれかい?」

ナースチャは、白木綿の襯衣の背中へ手を廻し、それを下へひっぱるような身振りをしながら短く、

「あたりまえです」

と答えた。

「どこかへつとめちゃいけないの? ナースチャ」

「村には仕事がないんです」

「……そうやって伯母さんのところにいつまでいたってしようがあるまいねえ……いくつ? お前さん」

「来月で十七です」

「モスクワへでも来りゃいいのに」

なかばひとり言のように云い、アンナ・リヴォーヴナは立ち上って、仕立代をナースチャに渡した。

「じゃ、布地はこのつぎ伯母さんが見えた時、つもって貰いますからってね」

五

いままで知らなかった感じがナースチャの心に生じた。モスクワへ、自分でも行けるのであろうか。原っぱへ出て、夏空の下の長い堤防や遠くの動かぬ貨車の列を見る時、ナースチャの眼に涙が浮んだ。小学三年だけ行ったナースチャの頭に、アンナ・リヴォーヴナの言葉はつよくうちこまれ、彼女は忘れることが出来なかった。