Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいかしゃ
赤い貨車
宮本 百合子
Lesen Sie 赤い貨車 (あかいかしゃ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.168 Zeichen · 71 Bildschirme
彼女は四十分も待っているのだ。ナースチャは、うしろの婆さんに、
「わたしちょっと買物をしてくるから、番おぼえてて下さいね」
と頼んだ。
「罐おいてくから、どうぞ見てて下さい、お婆さん」
石油焜炉を片手に下げながら婆さんは、往来から拾った吸いのこりのタバコをふかしていた。
「よしよし、見ててやるよ」
バタとジャガいもを籠に入れ、籠は腕にひっかけ、外套のかくしから向日葵の種を出して食べ食べナースチャが戻って来ると、石油販売所の人だかりは一そうひどくなっていた。ただの通行人は、そこまで来ると、車道へおりて行った。ナースチャが自分の番の場所へ立とうとすると、さっきはいなかった太った紫のプラトークの女がそばにいて、
「女市民! どうぞ順にならんどくれ、わたしはお前さんより前に来ているんだよ」
と叫んだ。
「なぜさ。わたしはさっきからここにいたんですよ」
石油焜炉を下げてタバコをのんでいた婆さんもどこかへ行って見えなかった。ナースチャはもう一つうしろの女を証人にしようとした。
「ね、お前さんだって知ってるねえ」
茶色の帽子をかぶった女は、外套の高い襟の間から鼻先だけ出し、つまらなそうに答えた。