Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くまとしゃしょう

赤い鳥代表作集 2

木内 高音

Lesen Sie 赤い鳥代表作集 2 (くまとしゃしょう) von 木内 高音 (きうちたかね) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 14.043 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

自分とくまは、さっきとはまったく、あべこべになったわけだ。自分はまるでくまのおりへ入れられたようなものだ。

さっきまでは、とにかくにげられそうな希望があった。まどへ両手をかけてさえしまえば、飛越台の要領ででも、どうにか制動室へからだを運ぶことができると思っていた。それがだめだとなると、自分はまったくもう、どうしていいかわからなくなってしまった。自分の命があぶないばかりでなく、車掌として重大な任務をはたすことができない。非常信号機? ――そういうものがあればいいのだが、なにしろ、むかしの開通してまもなくの鉄道なのだから、そういう用意がまるでないのだ。

ともかく、じっとしてはいられないから、そろそろからだをおこしてみた。四つんばいになると、さっき投げだした、シグナル・ランプのこわれがジャリジャリと手のひらにさわる。なまぐさい魚のにおいにまじって、こぼれた石油がプンと鼻をうつ。――なによりも大事な、たった一つの武器とも思っていたランプが、メチャメチャになってしまったのである。

「自分はなにを持ってくまと戦ったらいいだろうか?」

そう思うと自分はまったく絶望してしまった。