Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
くまとしゃしょう
赤い鳥代表作集 2
木内 高音
Lesen Sie 赤い鳥代表作集 2 (くまとしゃしょう) von 木内 高音 (きうちたかね) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 14.043 Zeichen · 29 Bildschirme
まったく夕方なんぞ、列車の車掌室から、ひとりぼっちで外をながめていると、泣きたくも泣けないような気もちだった。そういう時には、川のそばへさしかかって、水音をきくだけでもうれしかった。――くまなども、はじめは、汽車を見るとみょうなけものがやってきたぐらいに思ったらしい。機関車の前へのこのこでてきてにげようともしないので、汽笛をピイピイ鳴らしてやっと追いはらったというような話もあった。
さて、わたしが、くまと、列車の中で大格闘をしたという話も、まあ、そんな時分のことなのだ。
秋のことだった。終点のI駅からでる最終列車に後部車掌をつとめることになったわたしは、列車の一ばん後の貨車についた三尺ばかりしかない制動室に乗りこんだ。制動室というのはブレーキがあるからそういうので、車掌室のことだ。自分はそこのかたい腰かけへ腰をおろすと、うす暗いシグナル・ランプをたよりに、かたい鉛筆をなめなめ、日記をつけた。つぎの停車駅までは、約一時間もかかる。全線で一ばん長い丁場だった。日記をつけてしまうと、することもなくなったので、まどから暗い外をすかして見た。黒い立木が、かすかに夜の空にすけて見えて、時々、機関車のはく火の粉が、赤い線をえがいて高く低く飛びさる。