Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.384 Zeichen · 41 Bildschirme
「ええ、去定先生からいただいています」
「むりをしないほうがいい」と彼は云った、「私が喉の楽になる薬をつくってやろう」
お杉は微笑しながらうなずいた。
その日、食堂で夕めしを喰べていると、登に客だと玄関から知らせて来た。去定は外出してまだ帰らず、森半太夫は知らん顔をしていた。食事ちゅうに立つことは禁じられているので、登はどんな客だと問い返した。すると、客はまだ若い娘で、名は天野まさをだという返辞だった。
――天野、まさを。
登はその名にはっきりした記憶がなかった。けれどもすぐに見当がついた。ちぐさに妹が一人あった、まだほんの少女で、顔も殆んど覚えていないが、姓が天野であり、ここへ自分を訪ねて来たとすると、その妹にちがいないと思った。
――たぶんあの少女だろう。
だがなんのために来たのか、と登は訝った。自分の意志で来たのか、それとも誰かのさしがねか、まるで推察することもできなかったし、うっかり会ってはいけないという気がした。
「部屋にいないと云ってくれ」と登は取次の者に云った、「私は会わないから、伝言があったら聞いておいてくれ」
食事が終ったとき、取次の者が来た。