Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.384 Zeichen · 41 Bildschirme
「わかってる」彼は頭がちょっとふらふらするのを感じた、「それに、子供どうしの悪戯なんて珍らしいことじゃないよ」
お嬢さんの場合は違うのだとお杉は云った。
おゆみは九つのとき、三十幾つかになる手代に悪戯をされ、もしこのことを人に云ったら殺してしまう、と威された。自分のからだの感じた異様な感覚も、幼ないながら罪なことのように思われたし、人に云うと「殺してしまう」という言葉が、おゆみをかなしばりにした。その手代は半年ばかりして店を出されたが、出されるまで幾たびも同じようなことをし、そのたびに同じ威しの言葉をささやいた。それがおゆみの頭に深い傷のように残ったらしい、――手代が出されてから二年ほどたって、隣りの家の二十四五の若者に、手代とは変った仕方で悪戯をされた。隣りも大きな商家(何商ともお杉は云わなかった)で、土蔵が三戸前もあった。若者はそこの妻女の叔父だといい、事情があってその家の厄介になっていた。その家にはおゆみと同じ年の娘があり、よく遊びに往ったり来たりしていたのだが、或るとき、その家で隠れんぼをしていて、おゆみが土蔵の中へ隠れた。そこはふだん使わない物をしまっておくところで、古びた箪笥や長持や、葛籠などが、並べたり積まれたりしてあり、まん中に畳が四帖敷いてあった。