Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.384 Zeichen · 41 Bildschirme
二
額の広く禿げあがった、角張った顔つきで、口のまわりから顎へかけてびっしり髯が生えている。俗に「長命眉毛」といわれる、長くて濃い眉毛の下に、ちから強い眼が光っていた。「へ」の字なりにむすんだ唇と、その眼とは、犬儒派のような皮肉さと同時に、小児のようにあからさまな好奇心があらわれていた。
――なるほど赤髯だな、と登は思った。
実際には白茶けた灰色なのだが、その逞しい顔つきが、「赤髯」という感じを与えるらしい。年は四十から六十のあいだで、四十代の精悍さと、六十代のおちつきとが少しの不自然さもなく一躰になっているようにみえた。
登は辞儀をし、名をなのった。
「新出去定だ」と赤髯が云った。
そして登を凝視した。まるで錐でも揉みこむような、するどい無遠慮な眼つきで、じっと彼の顔をみつめ、それから、きめつけるように云った。
「おまえは今日から見習としてここに詰める、荷物はこっちで取りにやるからいい」
「しかし、私は」と登は吃った、「しかし待って下さい、私はただここへ呼ばれただけで」
「用はそれだけだ」と去定は遮り、津川に向かって云った、「部屋へ伴れていってやれ」
二
保本登は医員見習として、小石川養生所に住みこんだ。