Japanische Klassiker mit Furigana
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せきがいせんおとこ
赤外線男
海野 十三
Lesen Sie 赤外線男 (せきがいせんおとこ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.889 Zeichen · 78 Bildschirme
ところが其の朝に限って、いつもなら午前七時には必ず出てくる筈の白丘ダリアが、十時になっても姿を現わさなかった。学士は一人でコツコツと組立を急いでいたけれど、十一時になると、もう気力が無くなったと見え、ペンチを機械台の上に抛り出してしまった。
(どうして、白丘は出てこないんだろう?)
いろいろなことが、追懐された。何か本気で怒り出したのであろうか。それとも病気にでもなったのであろうか。考えているうちに、自分があの女学生に、あまりに頼りすぎていたことに気がついた。ひょっとすると、自分はもうあの少女の魔術にひっかかって、恋をしているのかも知れない。
(莫迦なッ。あんな小娘に……)
彼は身体を一とゆすりゆすると、実験衣のポケットへ、両手をつっこんだ。ポケットの底に、堅いものが触れた。
「ああ、桃枝から手紙が来ていたっけ」
今朝、用務員が門のところで手渡してくれた四角い洋封筒をとりだした。発信人は「岡見桃助」と男名前であるが、それは桃枝の変名であることは、学校内で学士だけが知っていた。開いてみると、どうやらそれは彼女の勤めているカフェ・ドランの丸卓子の上で書いたものらしく、洋酒の匂いがしていた。