Japanische Klassiker mit Furigana
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あかごうしくろうえもんのむすめ
赤格子九郎右衛門の娘
国枝 史郎
Lesen Sie 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.174 Zeichen · 33 Bildschirme
「さてお袖」と卜翁は、真面目の口調で改めて云った。
「水死を助けてこの家へ置き、ひそかに様子を見ていると、前身夜鷹とは思われないほど行儀正しい立居振舞。さて不思議と思っていたが、今のお前の物語でよくお前の素性も解った。播州赤穂の山屋といえば大阪までも響いていた立派な塩の製造業。そこの娘とあるからはなるほど行儀もよいはずじゃ。氏より育ちとは云うけれど、やはり氏がよくなければどことなく品が落ちるものじゃ。……そこでお前に訊くことがある。十八年前海賊が突然お前の実家を襲い一家惨殺した上に家財をあげて奪ったという、その海賊の頭領の名を、其方はどうやら知らぬらしいの」
「はい」とお袖は打ち湿り。
「ただ恐ろしい海賊が、ある夜海から襲って参り、妾の家を惨酷しく、滅して行ったと聞いたばかり、妾はその時僅か五歳、乳母に抱かれて山手へ逃げ、そのまま乳母の実家で育ち、十五の春まで暮らしましたが乳母が病気で死にましてからは、日に日に悲しいことばかり、とうとう人外の夜鷹とまで零落れましてござりますが、いまだに海賊の名も知らず残念に存じて居りまする」
「そうであろうと察していた。