Japanische Klassiker mit Furigana
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あかごうしくろうえもんのむすめ
赤格子九郎右衛門の娘
国枝 史郎
Lesen Sie 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.174 Zeichen · 33 Bildschirme
……その海賊が何者であるか俺が教えて進ぜよう」
「え」とお袖は驚いた。
「おおそれではお殿様にはご存じなのでござりますか?」
「おお俺は知って居る」
卜翁は白髯をしごいたが、
「俺は海賊の本人から親しく聞いて知って居るのじゃ」
卜翁は遠い昔のことでも思い出そうとするかのように軽くその眼を瞑ったが。
「あの頃俺は官に居た。長門守と守名を宣り大阪町奉行を勤めていた。ちょうどその頃のことであるが、瀬戸内海の大海賊赤格子九郎右衛門をひっ捕え千日前の刑場で獄門に掛けたことがある。その赤格子九郎右衛門こそ其方にとっては父母の仇又一家の仇なのじゃ」
ふと卜翁は話をやめた。そうして耳を傾けた。廊下に当たってミシリという人の足音が聞こえたからである。
誰か立聞きでもしているらしい。
「誰じゃ!」と卜翁は声を掛けた。
しかし答える者もない。
と、その時近くの寺で、搗き鳴らすらしい鐘の音がボーンと尾を曳いて聞こえてきた。
「おおもう後夜か」と指を折る。
その時庭の離れ座敷から三味線の音が聞こえてきた。唄うは何? 江戸唄らしい。
※(歌記号、1-3-28)ほんに思えば昨日今日
…………
それはお菊の声であった。