Japanische Klassiker mit Furigana
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あかごうしくろうえもんのむすめ
赤格子九郎右衛門の娘
国枝 史郎
Lesen Sie 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.174 Zeichen · 33 Bildschirme
……
「何」と卜翁は驚いた。
「山屋の倅というからには、このお袖とは兄妹じゃ。それを殺すとは不思議千万。待て待て後を読んで見よう」
この危難に三味線の音
――手紙の文字は尚つづく。
「……知らぬこととは云いながら兄妹契りを結ぶとは取りも直さず畜生道。二人ながら活きては居られず、かつは頭領の命令もあり、今宵忍んで妹めを打ち果たしましてござります。……」
ここまで読んで来て卜翁は初めて意味が解ったと見え、手紙をクルクルと巻き納めた。それからお袖の側へ寄り静かに体を抱き起こした。
もう呼吸は絶えている。
卜翁は忠蔵を抱き起こした。
と、忠蔵は眼を開けた。
「これ忠蔵」と忍び音に卜翁は耳元で呼ばった。
「様子は解った気の毒な身の上。卜翁の命を狙ったことも決して怨みには思わぬぞ。お袖は死んだ。お前も死ね」
「ああ有難う存じます」
「ただし一つ合点のゆかぬは、山屋を滅ぼした赤格子一家は其方の仇じゃ。しかるを何故その赤格子の一味徒党とはなったるぞ?」
「……知らぬが仏とは正しくこの事。存ぜぬこととは云いながら今日が日まで一家の仇赤格子の娘の手下となりうかうか暮らして居りましたこと残念至極に存じます」