Japanische Klassiker mit Furigana
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あかごうしくろうえもんのむすめ
赤格子九郎右衛門の娘
国枝 史郎
Lesen Sie 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.174 Zeichen · 33 Bildschirme
「ははあ左様でござりますか」
「ところで」と卜翁は形を改め、
「お菊は拙者の妾でござる。日頃不愍をかけた女。お手前達の手籠めに逢い縄目の恥辱蒙るのをただ黙って見ているのもはなはだ愍然と存ずるについては、拙者より直々因果を含め、宣り出るよう致させましょうがこの儀何と覚し召すな」
「さあ」と云って苦い顔をする。
「卜翁をご信用なされぬそうな」
「なかなかもって左様なこと。……」
「拙者昔は町奉行でござった」
「よく存じて居ります」
「しからばご信用下されい」
「…………」
「厭と申されるか」と叱咤する。
「しからば宜しく」と鹿十郎は云った。無論止むを得ず、云ったのである。
「おおお任せ下さるとな。忝けのうござる忝けのうござる」
つと卜翁は立ち上り奥の部屋へ引っ込んだ。
鹿十郎も立ち上り玄関から裏の方へ廻って行った。
離れ座敷をグルリと囲繞き真黒に捕方が集まっている。しかも座敷の中からは三味線が長閑に聞こえてくる。
と、主屋から飛石づたいに卜翁の姿が現われた。
卜翁は雨戸をトントンと打つ。
「お菊、俺じゃ、雨戸をあけい」
三味線の音が急に止み、サラサラと衣擦れの音がした。と、雨戸が静かに引かれ颯と燈火が庭へ射した。