Japanische Klassiker mit Furigana
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えつねん
越年
岡本 かの子
Lesen Sie 越年 (えつねん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.003 Zeichen · 21 Bildschirme
「おいおい、みんなどうしたんだい」
一足後れて出勤した課長は、この光景に不機嫌な顔をして叱ったが、内情を聞くに及んで愉快そうに笑いながら、社員を押し分けて自分が加奈江の卓に近寄り「よく貫徹したね、仇討本懐じゃ」と祝った。
加奈江は一同に盛んに賞讃されたけれど、堂島を叩き返したあの瞬間だけの強いて自分を弾ませたときの晴々した気分はもうとっくに消え失せてしまって、今では却ってみんなからやいやい言われるのがかえって自分が女らしくない奴と罵られるように嫌だった。
社が退けて家に帰ると、ぼんやりして夜を過ごした。銀座へ出かける目標も気乗りもなかった。勿論、明子はもう誘いに来なかった。戸外は相変らず不思議に暖かくて雪の代りに雨がしょぼしょぼと降り続いた。加奈江は茶の間の隅に坐って前の坪庭の山茶花の樹に雨が降りそそぐのをすかし見ながら、むかしの仇討ちをした人々の後半生というものはどんなものだろうなぞと考えたりした。そして自分の詰らぬ仕返しなんかと較べたりする自分を莫迦になったのじゃないかとさえ思うこともあった。
一月十日、加奈江宛の手紙が社へ来ていた。加奈江が出勤すると給仕が持って来た。