Japanische Klassiker mit Furigana
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えつねん
越年
岡本 かの子
Lesen Sie 越年 (えつねん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.003 Zeichen · 21 Bildschirme
師走の風が銀座通りを行き交う人々の足もとから路面の薄埃を吹き上げて来て、思わず、あっ! と眼や鼻をおおわせる夜であった。
加奈江は首にまいたスカーフを外套の中から掴み出して、絶えず眼鼻を塞いで埃を防いだが、その隙に堂島とすれ違ってしまえば、それっきりだという惧れで直ぐにスカーフをはずして前後左右を急いで観察する。今夜も明子に来て貰って銀座を新橋の方から表通りを歩いて裏通りへと廻って行った。
「十日も通うと少し飽き飽きして来るのねえ」
加奈江がつくづく感じたことを溜息と一緒に打ち明けたので、明子も自分からは差控えていたことを話した。
「私このごろ眼がまわるのよ。始終雑沓する人の顔を一々覗いて歩くでしょう。しまいには頭がぼーっとしてしまって、家へ帰って寝るとき天井が傾いて見えたりして吐気がするときもある」
「済みませんわね」
「いえ、そのうちに慣れると思ってる」
加奈江はまた暫らく黙ってすれ違う人を注意して歩いていたが
「私、撲られた当座、随分口惜しかったけれど、今では段々薄れて来て、毎夜のように無駄に身体を疲らして銀座を歩くことなんか何だか莫迦らしくなって来たの。