Japanische Klassiker mit Furigana
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ろじょう
路上
Lesen Sie 路上 (ろじょう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.539 Zeichen · 87 Bildschirme
」
俊助は紅茶茶碗を掌に載せたまま、しばらくの間考えた。行く行かないの問題を考えるのか、一度断った依頼をまた引受けるために、然るべき口実を考えるのか――それも彼には判然しないような心もちがした。
「そりゃ行っても好いが。」
彼は現金すぎる彼自身を恥じながら、こう云った後で、追いかけるように言葉を添えずにはいられなかった。
「そうすりゃ、久しぶりで新田にも会えるから。」
「やれ、やれ、これでやっと安心した。」
野村はさもほっとしたらしく、胸の釦を二つ三つ外すと、始めて紅茶茶碗を口へつけた。
十八
「日はア。」
俊助の眼はまだ野村よりも、掌の紅茶茶碗へ止まり易かった。
「来週の水曜日――午後からと云う事になっているんだが、君の都合が悪るけりゃ、月曜か金曜に繰変えても好い。」
「何、水曜なら、ちょうど僕の方も講義のない日だ。それで――と、栗原さんへは僕の方から出かけて行くのか。」
野村は相手の眉の間にある、思い切りの悪い表情を見落さなかった。
「いや、向うからここへ来て貰おう。第一その方が道順だから。」
俊助は黙って頷いたまま、しばらく閑却されていた埃及煙草へ火をつけた。