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Japanische Klassiker mit Furigana

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ろじょう

路上

芥川 竜之介

Lesen Sie 路上 (ろじょう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.539 Zeichen · 87 Bildschirme

Aozora Bunko

に漕つけるまでには、一方ならず野村の父の世話になっていると云う事、その父の歿後どこかから妾腹の子と名乗る女が出て来て、一時は面倒な訴訟沙汰にさえなった事があると云う事――そう云ういろいろな消息に通じている俊助は、今また野村の帰郷を必要としている背後にも、どれほど複雑な問題が蟠まっているか、略想像出来るような心もちがした。

「まず当分はシュライエルマッヘルどころの騒ぎじゃなさそうだ。」

「シュライエルマッヘル?」

「僕の卒業論文さ。」

野村は気のなさそうな声を出すと、ぐったり五分刈の頭を下げて、自分の手足を眺めていたが、やがて元気を恢復したらしく、胸の金釦をかけ直して、

「もうそろそろ出かけなくっちゃ。――じゃ癲狂院行きの一件は、何分よろしく取計らってくれ給え。」

十九

野村が止めるのも聞かず、俊助は鳥打帽にインバネスをひっかけて、彼と一しょに森川町の下宿を出た。幸とうに風が落ちて、往来には春寒い日の暮が、うす明くアスファルトの上を流れていた。

二人は電車で中央停車場へ行った。野村の下げていた鞄を赤帽に渡して、もう電燈のともっている二等待合室へ行って見ると、壁の上の時計の針が、まだ発車の時刻には大分遠い所を指していた。