Japanische Klassiker mit Furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
Lesen Sie 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.926 Zeichen · 332 Bildschirme
私はそのときただぼんやり聞いていましたが、今から思うと、その重役はなかなかどうして豪いですよ。日本人に生れたことを心から光栄とし感謝する。私はすべてこの意気でやっています。』
そういう時の小野さんにはいかにも若い日本人らしい「色の黒い逞しさ」が見られた。私たちは何となく頼母しい気がして、この「毛唐ずれ」のした小野さんと、彼の、機智に富んだベントレイ夫人への断り文句などを毎日のように話しあっていた。
そうして間もなく、根気よく散歩に出てさがしているうちに、とうとう私たちもこれならという家を見つけて、さっそく引っこして行った。パレス街の近辺で、ベントレイお婆さんのところからみると一段高級なプライヴェイト・ホテルだった。
移った日、私たちが夕食に階下の食堂におりていくと、はじめてなので案内してくれた主婦のチャンバアス夫人が、食堂の入口で私たちをふりかえった。
『このなかに一つの驚きがあなた方を待っていますよ。日本の紳士が一人泊っておいでなのです。』
戸があくと、いぎりす人ばかりの、広くもない食堂の隅に、いかさま日本人たることを光栄としているらしいひとつの黄いろい顔が、若いくせにおちつき払って、今やその口へ大きな肉片を押し込み終ったところだった。