Japanische Klassiker mit Furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
Lesen Sie 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.926 Zeichen · 332 Bildschirme
君はすでに町をつかんでいるからだ。
このあたらしい都会でぴたりとくる感じ――私はそれを町の顔と呼ぶ。
へんなことには、都会の顔は近代化した大通りや、いわゆる「見物の場所」にはけっして見られない。老婆と主婦と雑貨と発音が鳩といっしょに渦をまく朝の市場、しみだらけの歪んだ壁と、小さな窓と、はだしの子供たちの狭い裏まち。それに坂だ!――私はどうしてこう坂と横町と市場が好きなんだろう?――これらに私は、じいっと私を見つめている「町の顔」を発見する。
こういう「町の顔」のなかで、性格的に印象を打って長くあたまにこびりついている多くの「顔」を私は持つ――そのうちでも白耳義の首府ブラッセルは、私にとって忘れられない「都会の顔」の一つだ。その、千百一の物語を蔵していそうな裏まちと、市場と、市街の坂と、私はこの欧羅巴の片隅に「存在をゆるされて」いるブラッセルの可憐さ――それは孤児の少女に似た――をいまだに大事にこころの底にしまいこんでいる。
ブラッセルでは、私たちはブラッセルを生きた。そのあいだ靉日がつづいていた。
着いたのは夜だった。
着くのは、あたらしい町へつくのは夜に限る。