Japanische Klassiker mit Furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
Lesen Sie 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.926 Zeichen · 332 Bildschirme
どうも見たところ比較的好意を寄せてるらしいから、だいたい大丈夫だろう――それから例によってさんざん戸籍しらべみたいなことを繰返したあげく、
『署名出来るか。』
と肥ったお婆さんがおっしゃる。あとで聞くとこれが上役だそうだ。私はまた洗濯婆さんが油を売りに来てるのかと思った。
やがてのことに別室へ呼び込まれる。カラハンみたいな大男が鼻眼鏡をかけ直して写真と私を見くらべて首実験をする。ラスコウリニコフの部屋のような暗い陰惨な事務室に、硝子ごしに青葉がうつろい、天井に陽の斑がおどって、解剖台を思わせる大きな机のうえに、たった一つ、あまりに周囲とかけ離れた物が置いてある。金に宝石をちりばめた高さ一尺ほどの時計だ。革命のときにどこか貴族の家からでも持ち出したものだろう。十時三十二分。ふと見ると正面の壁にレニンの像が飾ってある。
それからそこに長いこと待たされて、それから何度も同じような質問に返答して、それから、それから、それから――とうとうお前はもう帰れという。滞在をゆるすか許さないか、いずれゆっくり相談のうえで知らせるから――と。
にちぇうぉ! 仕方がないから帰宿。