Japanische Klassiker mit Furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(下)
谷 譲次
Lesen Sie 踊る地平線(下) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.823 Zeichen · 283 Bildschirme
を出し物に大入りをとっていた。ヴェルサイユ宮殿の大奥を仕組んだもので、真暗な舞台前景の向うに女官部屋だけ明るく見せて、そこで多勢の女官が着物を着更えたりする。するとここに美貌の一王子があってその男禁制の場所へ忍びこむ。この王子を取り巻いて女官達の間に恋の鞘当がはじまる。と言ったような筋で、イダルゴがその美男の王子に扮して大評判だった。
その日は昼興行があった。芝居はおわりに近づいて、女官部屋の場だった。満員の観客がじっと舞台に見入っている。そしてイダルゴの出を待っている。王子の扮装を済ましたイダルゴは、傍幕のかげに隠れていつものように登場のきっかけを待っていた。
が、このとき楽屋にはひそひそ声の大相談が持ち上っていた。いま闘牛士ホウセリト―― Joselits ――が牛に突かれて致命傷を受けたという報せが這入ったのだ。これを早速イダルゴへ知らせたものかどうかと、みんな声を潜めて議論し合った。芝居が大事だから閉ねるまで隠しておこうという説が多かった。しかし、支配人はイダルゴの気質を飲み込んでいた。あの、感情的なイダルゴのことだから、もしそんなことをしようものなら後のあとまでどんなに恨まれるか知れない。