Japanische Klassiker mit Furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(下)
谷 譲次
Lesen Sie 踊る地平線(下) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.823 Zeichen · 283 Bildschirme
彼女の属する社会層は瞬間の私にとって完全な神秘だった。が、私はいま何よりもじぶんのいる場処をはっきりと認識しなければならない。このモンテ・カアロの博奕場では、どんな神秘も個人の関心を強いはしないのだ。じっさいいかに小さな異常現象へでもすこしの好奇心を振り向けることは、ここの多角壁の内部ではそれだけで一つの「許せない規則違反」なのだ。そこで私はただ聖マルタン水族館の門番のように、黙ったままこころのなかで彼女の足へ最敬礼することで満足したのである。
がめたるの靴下が慄悍な脛を包んで、破けまいと努力していた。その輪廓は脂肪過多の傾向からはずっと遠かった。アキレス氏腱は張り切って、果物ナイフの刃のように外へむかってほそく震えていた。私の眼にも判る一大きさ小さなゴブラン織りの宮廷靴が、蹴合いに勝って得意な時の鶏の足のような華奢な傲慢さで絨毯の毛波を押しつけていた。彼女が足を移動すると、そのけばは一せいに起き上って、絨毯のうえの靴あとが見てる間に周囲に吸われて消えた。あまり繊細に、そして音律的に足が動くので、そのうちに私は、じつは彼女が、咽喉の奥で唄う高速度曲に合わせてブダペスト風の踊りを真似してるのであることを知った。