Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐんこくかようしゅう
軍国歌謡集
山川 方夫
Lesen Sie 軍国歌謡集 (ぐんこくかようしゅう) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.655 Zeichen · 80 Bildschirme
「ほ、ほんとにあの歌だったですか? ハヤブサは行く、雲の果て、っていう、あの歌だったですか? まちがいありませんか?」
「ほんとだとも。……どうしたんだ? 大チャン」
私は、びくびくして答えた。雀躍りせんばかりの彼の態度が解せなかった。
「いや、おどろいた、おどろいているんですよ、私は」大チャンは顔をかがやかせて、ふいにしっかりと両掌で私の手をつかんだ。「きっと、いよいよ心が通じたんです」
「ココロが通じた? なんのことさ」
「今日ね、十時ごろ、私は撮影所にいたんですよ。ね? 酔っているようだが、わかりますか?」
「わかりますよ、それくらい」
「そしたらね、いいですか? ふいに、やはりハヤブサの歌が聞こえてきたんですよ。ありありとね。ええ、あの女の人の声で。ほんとなんです」
「え?」私は起き直って、呆れて大チャンの顔をみつめた。
「いや、その、私の心の中でなんです」大チャンは顔を真赤にしていた。「霊感です。だから私は、今夜の歌は、きっとあれだっていう気がしたんだ」
「……よしてくれよ、ばかばかしい」
私は皮肉な表情を、意識してとりもどしながらいった。「偶然だよ。偶然大チャンの幻聴と同じだっただけのことです」