Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐんこくかようしゅう
軍国歌謡集
山川 方夫
Lesen Sie 軍国歌謡集 (ぐんこくかようしゅう) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.655 Zeichen · 80 Bildschirme
空にのこるバラ色の夕日の最後の反映も、遠い森のような木々の上に、じりじりと濃さを深めて行く黄昏も、私には昨日もくりかえされ、また明日につづいて行く時間の重苦しさ以外のものを語りかけなかった。左手の小さな公園ふうの鉄棒や遊動円木のある空地で、一人の少年が孤独な体操をしている。その上半身だけが眺められた。……しかし、私は、彼にも親近感が湧かなかった。
どの家にも白いランニングやパンツやズロースの洗濯物が窓からのぞいていた。私は、毎日のようにそれを洗濯する無数の女たちの手を思った。彼女たちは、くりかえし、くりかえし、その白い色を新たにする労働を重ねながら、年老いて行く。でも、洗っても洗ってもその白に附着して行く汚れた垢の重なりだけが、たしかな、確実な生活というものを保証し、その実在を示す証拠のような気がしていた。私はなにをしているのだろう。私は、これからなにをして生きて行くのだろう。いったい、なにを愛するのだろう。私は自問していた。答えはなかった。私は生活を、人間たちを、その関係の中にからみとられ、その底であの洗濯物のような存在を重ね、毎日それを洗うような労働で年老いて行くのを、愛さない、と私は思った。