Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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てんき

転機

伊藤 野枝

Lesen Sie 転機 (てんき) von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.656 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

いまは三河島に引っ込んでいるKさん、ご存じでしょう? あの人でさえ、一時は、あの問題のために一身を捧げるくらいな意気込みでいたんですけれど、今日じゃ、何のたよりにもならないのですからねえ。」

K氏といえば、一時は有力な社会主義者として敬意を払われた人である。創作家としても、その人道的な熱と情緒によって多くの読者を引きつけた人である。

「へえ、Kさん? ああいう人でも――」

私は呆れていった。

「Kさんも、前とはよはど違っていますからねえ。しかしKさんばかりじゃない、皆がそうなんです。要するに、もうずいぶん長い間どうすることもできなかったくらいですから、この場合になっても、どう手の出しようもないから、まあ黙って見ているより仕方はあるまいというのがみんなの考えらしいんです。しかし。」

M氏はいったん言葉を区切ってからいった。手の出しようのないのは事実だ。今まで十年もの間苦しみながら、しがみついて残っていた土地から、今になってどうして離れられよう、という村民の突きつめた気持に同情すれば溺れ死のうという決心にも同意しなければならぬ。といって手を束ねてどうして見ていられよう! けれど、事実の上ではやはり黙って見ているより他はないのだ。