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Japanische Klassiker mit Furigana

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きんせいかいじんでん

近世快人伝

夢野 久作

Lesen Sie 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.469 Zeichen · 157 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし湊屋仁三郎は博士であろうが元帥であろうが驚ろかなかった。サッサと裏へ廻って足を洗って上って来た。

「ヘエ。皆さん。今晩は……今台所の婆さんに洗わせよる、昨夜まで玄海沖で泳ぎよった魚じゃけに、洗いに作らせといた」

「ちょうど今長生きの話が出とるところじゃったが、ええところへ来た。貴公なんぞは長生きの大将と思うが……そんな気持ちはせんか」

と杉山茂丸氏が水を向けた。

「ハハハ。人間はアンマリ長生きせん方が良えと思いますなあ。人間一代山は見えとる。長生きしようなんて考えるだけで寿命が縮まるなあ。八代さん。美味い酒をば飲むだけ飲うで、若い女子は抱くだけ抱いて、それでも生きとれあ仕様がない。又、明日の魚は糶るだけの話たい……なあ武谷先生……」

八代閣下と武谷博士がグウとも云えないまま苦々しい顔になった。社交家の杉山茂丸氏が透かさず話題を転じた。鍋の中でグツグツ煮えている鯨のスキ焼の一片を挟み上げて令弟、林駒生技師に提示した。

「オイ。駒生。この肉は鯨の全体でドコの肉に当るのかね」

サア事だ。林水産狂技師の得意の話題に触れたのだ。油紙に火が附いた以上の雄弁の大光焔がどうして燃上らずにおられよう。