Japanische Klassiker mit Furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lesen Sie 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.469 Zeichen · 157 Bildschirme
そのうちに正午から夕方迄かかって、やっと葬式が済んだので会衆一同は、思わずホッと溜息をした。その音が、ゴーッと堂内に溢れて、急行列車の音に似ていたというが、マサカそれ程でもなかったろう。
そこへ棺担ぎが出て来て棺桶に太い棒を通した。そのまま、市営の火葬場へ持って行こうとすると、一番前の椅子に腰をかけていた市場の親友二三人が何事かタマリかねたらしく立ち上って馳けよった。
「……チョ……一寸待ちなさい。こげな葬式で仁三郎が成仏出来るもんじゃない。ふうたらぬるい。もう辛棒が出来ん。カンニン袋の緒が切れた。一寸貸しなさい。私達が担いでやるけに……オイみんな来い、ついでに前の花輪をば、二ツ三ツ借りて来い」
魚市場だけに乱暴者が揃っていたからたまらない。得たりや応という中にテンデに羽織をぬいで棺桶を担ぎ上げた。牧師連中が青い目をグリつかせている前で花輪を二ツ三ツ引ったくるとその勢で群衆を押し分けて、
「ウアーイ。ワッショイ、ワッショイ」
と表の往来へ走り出した、生魚を陸上るのと、おんなじ呼吸でどこを当てともなくエッサエッサと走り出したので消防組と市場の体験のある者以外は皆バタバタと落伍してアトにはイキのいいピンピンした連中ばかりが残って了った。