Japanische Klassiker mit Furigana
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かいことてんぼう
近世数学史談
高木 貞治
Lesen Sie 近世数学史談 (かいことてんぼう) von 高木 貞治 (たかぎていじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.981 Zeichen · 25 Bildschirme
.くどくどと独り言のようにつぶやく老先生を見て,僕は暗涙を禁ずることを得ませんでした.
数年前に僕は数学基礎論に関して通俗的の解説を述べた折に,H先生は一生の思出に凡てのホトトギスを鳴かせて見せるのだというようなことを書きました.それは勿論数学基礎論を解決し了る意気込を言った積りなのですが,比喩が不適切である為に,僕の意志にない所の,嘲笑というような印象を読者に与える虞がありましたから,「数学基礎論は完成してもよい,又は完成しなくてもよい.只H先生は余生を安楽に送られることを望む」という意味を,何処かへ書き入れようと思いながら,それを忘れてしまいました.僕は今それを思い出したのです.毎日三十匁の生肝を食って不治の難病と戦いつつも,駿馬も老いては揚足を若い助手連に時々は取られながらも,どうして排中律の証明等等を書かずには居られないでしょう.余生を楽しむなどは論外で,生きながらの餓鬼道ではありませんか.恐ろしいのは,これも不治なる知識追求症です.
さてNさんはと見ると,これは又明らかに困却の色を表わしています.尤も毎日のように聞かされているのでは,十年振に会ったものと感じが違うのも止むを得ないでしょう.