Japanische Klassiker mit Furigana
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ついおく
追憶
Lesen Sie 追憶 (ついおく) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.304 Zeichen · 23 Bildschirme
一 埃
僕の記憶の始まりは数え年の四つの時のことである。と言ってもたいした記憶ではない。ただ広さんという大工が一人、梯子か何かに乗ったまま玄能で天井を叩いている、天井からはぱっぱっと埃が出る――そんな光景を覚えているのである。
これは江戸の昔から祖父や父の住んでいた古家を毀した時のことである。僕は数え年の四つの秋、新しい家に住むようになった。したがって古家を毀したのは遅くもその年の春だったであろう。
二 位牌
僕の家の仏壇には祖父母の位牌や叔父の位牌の前に大きい位牌が一つあった。それは天保何年かに没した曾祖父母の位牌だった。僕はもの心のついた時から、この金箔の黒ずんだ位牌に恐怖に近いものを感じていた。
僕ののちに聞いたところによれば、曾祖父は奥坊主を勤めていたものの、二人の娘を二人とも花魁に売ったという人だった。のみならずまた曾祖母も曾祖父の夜泊まりを重ねるために家に焚きもののない時には鉈で縁側を叩き壊し、それを薪にしたという人だった。
三 庭木
新しい僕の家の庭には冬青、榧、木斛、かくれみの、臘梅、八つ手、五葉の松などが植わっていた。