Japanische Klassiker mit Furigana
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ついおく
追憶
宮本 百合子
Lesen Sie 追憶 (ついおく) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.363 Zeichen · 35 Bildschirme
どうかして周囲には人が誰も居ないで私丈がいつもの様に火鉢にあたりながら呆んやり座って居ると、後の唐紙をあけて、大変髭の濃い顔の角張った人が入って来た。
私は一寸振返ったけれ共知らない人だったので黙って居ると、屏風の中に入って何かして居た其の人はやがて片身を外へ出して、
「百合ちゃん一寸おいで、
好いものを見せてあげ様。
と手招きをした。
私は何の気なしに、
「なあに。
と立って行くと屏風の中に入れられた。
其処には厚い布団に寝かされて大変背の高くなった叔父の体が在ったけれ共別に変な感じも持たずにその人の後に居ると、顔の辺りに掛けてある白い布をめくりながら、
御覧。
と云って身をねじ向けた。
何だろうと思ってのり出した私は、
アッ、
と云うなりつまずきそうになりながら屏風の外へ飛び出すと、激しい怖れでガタガタ震えながら自分で気がボーッとなる程大きな声をあげて泣き出した。
私の声を聞き付けて馳け付けた母に抱かれて泣き止みはしたけれ共その時からどうしても棺の傍へもよれなくなって仕舞った。
何と云う気味の悪い顔色で有ったろう。
絵に見、自分の想像の中のお化けそっくりの細い骨だらけの痩せ切った顔の様子は少し開いた口の形と一緒にいつまでも私の瞼にこびり付いて離れなかった。