Japanische Klassiker mit Furigana
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とじょうのはんにん
途上の犯人
浜尾 四郎
Lesen Sie 途上の犯人 (とじょうのはんにん) von 浜尾 四郎 (はまおしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.477 Zeichen · 38 Bildschirme
口をもごもごやったきり、物凄い顔で私をじっと見つめたのである。暮れやすい春の太陽は弱い光を投げかけながら今、山に入ろうとして居る。
この気味の悪い沈黙の数分間、私も負けずに彼の気味のわるい顔を見つめてやった。眉けんのあたりに深いしわをよせながら、彼は何か心の中で苦悶と戦って居るらしい。
私ははじめ、彼が一本参ったので口惜しがって居るものとのみ思って居た。しかし実はこの時の彼の顔色は、より深き苦しみを現わして居たものである事が後に判った。
唾を二、三度のみ込みながら、急に相川は口を切った。今度は又、俄に丁重な言葉を用いながら。
「先生、先生は弁護士でいらっしゃる。弁護士として聞いた人の秘密は無論お洩らしになる事はないでしょうね」
「勿論です。道義上でもいうまでもない事ですが、法律の上でもわれわれはそういう秘密を洩らすわけに行かなくなって居るのです」
(平凡な描写をすれば)相川は、しばらく、云おうか云うまいか、と頻りに考えたらしいが、結局、こう云い出した。
「それならばお話しします。さっき申した一人というのはかく申す私なのです。相川俊夫です」
「何? 君?」
「そうです。