Japanische Klassiker mit Furigana
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とじょう
途上
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 途上 (とじょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.060 Zeichen · 32 Bildschirme
何処にも切り込む隙がないように聞えます。が、あなたが只今おっしゃらなかった部分のうちに、実は見逃してはならないことがあるのです。と云うのは、今のその電車と自動車との危険の可能率の問題ですな、自動車の方が電車よりも危険の率が少ない、また危険があってもその程度が軽い、そうして乗客が平等にその危険性を負担する、これがあなたの御意見だったようですが、少なくともあなたの奥様の場合には、自動車に乗っても電車と同じく危険に対して択ばれた一人であったと、僕は思うのです。決して外の乗客と平等に危険に曝されてはいなかった筈です。つまり、自動車が衝突した場合に、あなたの奥様は誰よりも先に、かつ恐らくは誰よりも重い負傷を受けるべき運命の下に置かれていらしった。このことをあなたは見逃してはなりません」
「どうしてそう云うことになるでしょう? 僕には分りかねますがね」
「ははあ、お分りにならない? どうも不思議ですな。―――しかしあなたは、あの時分筆子さんにこう云うことをおっしゃいましたな、乗合自動車へ乗る時はいつもなるべく一番前の方へ乗れ、それが最も安全な方法だと―――」
「そうです、その安全と云う意味はこうだったのです、―――」