Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とんそう

遁走

葛西 善蔵

Lesen Sie 遁走 (とんそう) von 葛西 善蔵 (かさいぜんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.581 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

三

こう言った彼の眼の光りは、やはり疑うことのできない真実な感動を私に語った。しかしとにかく彼は私にとっては、あまりに複雑で、捉えることができないのだ。

「そうかもしれないね。そして君は活きたものの、どこまでも活きて行く上の風々主義者だ。そして僕は死物の、亡者の風々主義者というわけだろう」私はすっかり絶望的な、棄鉢の気持になって言った。

私と土井とはかなり遅くなって、笹川の下宿を出た。「とにかく明日は君のところへ寄るから」と、土井は別れる時私に言った。

三

笹川は、じつに怖い男だ。彼は私の本体までもすっかり研究してしまっている。そしてもはや私は彼にとっては、不用な人間だ。彼は二三度、私を洲崎に遊びに伴れて行ってくれた。そしてあるおでん屋の女に私を紹介した。それは妖婦タイプの女として、平生から彼の推賞している女だ。彼はその女と私とを突合わして、何らかの反応を検ようというつもりであったらしい。私はその天水桶へ踏みこんだ晩、どんな拍子からだったか、その女を往来へ引っぱりだして、亡者のように風々と踊り歩いたものらしい。そして天水桶へ陥ったものらしい。彼はそのことも書くに違いない。