Japanische Klassiker mit Furigana
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うんめいろんしゃ
運命論者
国木田 独歩
Lesen Sie 運命論者 (うんめいろんしゃ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.357 Zeichen · 34 Bildschirme
何時此処へ来て、何処から現われたのか少も気がつかなかったので、恰も地の底から湧出たかのように思われ、自分は驚いて能く見ると年輩は三十ばかり、面長の鼻の高い男、背はすらりとした形、衣装といい品といい、一見して別荘に来て居る人か、それとも旅宿を取って滞留して居る紳士と知れた。
彼は其処につッ立って自分の方を凝と見て居る其眼つきを見て自分は更に驚き且つ怪しんだ。敵を見る怒の眼か、それにしては力薄し。人を疑う猜忌の眼か、それにしては光鈍し。たゞ何心なく他を眺る眼にしては甚だ凄味を帯ぶ。
妙な奴だと自分も見返して居ること暫し、彼は忽ち眼を砂の上に転じて、一歩一歩、静かに歩きだした。されども此窪地の外に出ようとは仕ないで、たゞ其処らをブラブラ歩いて居る、そして時々凄い眼で自分の方を見る、一たいの様子が尋常でないので、自分は心持が悪くなり、場所を変る積で其処を起ち、砂山の上まで来て、後を顧ると、如何だろう怪の男は早くも自分の座って居た場処に身体を投げて居た! そして自分を見送って居る筈が、そうでなく立た膝の上に腕組をして突伏して顔を腕の間に埋めて居た。
余りの不思議さに自分は様子を見てやる気になって、兎ある小蔭に枯草を敷て這いつくばい、書を見ながら、折々頭を挙げて彼の男を覗って居た。