Japanische Klassiker mit Furigana
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うんめいろんしゃ
運命論者
国木田 独歩
Lesen Sie 運命論者 (うんめいろんしゃ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.357 Zeichen · 34 Bildschirme
生の母は父の仇です、最愛の妻は兄妹です。これが冷かなる事実です。そして僕の運命です。
若し此運命から僕を救い得る人があるなら、僕は謹しんで教を奉じます。其人は僕の救主です。」
七
自分は一言を交えないで以上の物語を聞いた。聞き終って暫くは一言も発し得なかった。成程悲惨なる境遇に陥った人であるとツク/″\気の毒に思ったのである。けれども止むなくんばと、
「断然離婚なさったら如何です。」
「それは新らしき事実を作るばかりです。既に在る事実は其為めに消えません。」
「けれども其は止を得ないでしょう。」
「だから運命です。離婚した処で生の母が父の仇である事実は消ません。離婚した処で妹を妻として愛する僕の愛は変りません。人の力を以て過去の事実を消すことの出来ない限り、人は到底運命の力より脱るゝことは出来ないでしょう。」
自分は握手して、黙礼して、此不幸なる青年紳士と別れた、日は既に落ちて余光華かに夕の雲を染め、顧れば我運命論者は淋しき砂山の頂に立って沖を遙に眺て居た。
其後自分は此男に遇ないのである。