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Japanische Klassiker mit Furigana

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かさんかマンガンすいのゆめ

過酸化マンガン水の夢

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 過酸化マンガン水の夢 (かさんかマンガンすいのゆめ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.458 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

下弦の月空にかゝりて伊豆山、熱海、網代、川奈の燈火点々たり。昨日と今日の東京の暑かったことを思えば何と云っても此の丘の上の草廬は別天地なり。

就寝後、午前二三時頃かと覚ゆ、家人の呻き声に眼を覚まし慌てゝ彼女を揺り起す。二三回強く揺り動かして辛うじて眼を覚まさせる。近頃家人が悪夢に魘され夜中に息が詰まると云い出して俄然恐ろしき呻き声を発することしば/\なり。或はその原因は寝台のスプリングの凹み工合が悪く、胸の辺が妙に落ち込むようになるため心臓を壓迫される故にやあらん。同じ構造の寝台を用いながら予には左様なことなきは矢張家人の心臓に缺陥があるせいであろうか。兎も角も近々に家具屋を招いてスプリングの加減を見て貰うつもりであるが、夫婦の寝台の間には小さきナイトテーブルがあるため、大急ぎで彼女を揺り起そうとしても咄嗟には手が届かず、此方の寝台から向うの寝台まで起きて歩いて行くこともあり、そんな騒ぎのために此方もすっかり眼を覚まされて眠れなくなってしまうこともある。家人の話では魘される時の気持は何とも云えず、二三分間は全く呼吸困難に陥り、いくら息をしようとしても息が出来ず、そのまゝになってしまいそうな気がするとのことにて、それきり再び寝ようとせず、上半身を起したまゝ枕元の書物をひろげて拂暁に及ぶことが珍しくない。