Japanische Klassiker mit Furigana
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みちづれ
道づれ
宮本 百合子
Lesen Sie 道づれ (みちづれ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.491 Zeichen · 41 Bildschirme
文学における大衆化の問題が全般的にとりあげられている時代であった。広くもない窓のしまったまがい洋室の内には、煙草のけむが濛々である。烟は濃くて、人々の頭のところで渦巻き、天井でおさえられ、例の時代おくれの電燈の笠のうす赤いふちをぼんやりと浮べている有様である。作品の大衆化と面白さということが問題になり、戸山が、真面目に、しかし、どこか講壇風に、
「新しい意味での面白さというものは文学の芸術的価値と一致しなければならないと云う大原君の見解は全く正しいと思うんです」
と云った。すると、山原が両膝をひろく割って低い長椅子からのり出し、
「問題はその所謂芸術的価値にあると思うね。我々はいろんな尤なことをきかされてなるほどそういうものかと思うが、岩見重太郎が結構面白くよめる。――どうも俺にはよく分らん」
誇張した表現で山原は短くかりこんでいる頭をパリパリ掻きながら、
「おい、どうだ佐藤」
傍の重吉をかえりみた。
光井が重吉の方を眺めると、重吉は腕ぐみをしてやはり深く椅子の奥へもたれこんだなり、確かりした顔を知力的に輝やかしているが格別山原の方を見ようともしていない。